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TYC第8戦


●日時:2009/09/13 10:45 スタート

●海面:東京湾ディズニーシー沖 上下5レグ(約3.5マイル)

●風向・風速:180° 2m/s~4m/s

■船底の様子

前々日に上架して船底磨きを依頼したところ、藤壺の小さいのがびっしり付着していたと報告があった。
マリンサービスのK氏から「よくこれでTBC出たね。こんな状態では全くスピードが出ないよ」と言われ、同時に「あれだけ船底を磨いたのに短期間でこれだけ藤壺が付着するとは予想外だな。一週間後の全日本の時にはレース前にもう一度潜らないとだめだね」と厳しい言葉。
まぁそれはそうでしょう。何せボトムに船底塗料は一切塗ってない。東京湾のような富栄養化が進んでいる海域では一週間持たないだろうと思っていた。
キールとラダーには船底塗料を塗ってある。こちらは全く綺麗だったという。

ボトムだけの掃除なら我々クラスの大きさなら比較的簡単に短時間で済む。
それでも、小さいながら付着した藤壺の除去は結構大変だったらしい。
レースシーズンが終わるまでは、まめに潜るしかなさそうである。クルーのTに活躍してもらうしかない。何せウェットスーツを持っている。
それなのにTは潜るのを嫌がる。理由を聞くと「海の中は怖い。何が生きているか分からないじゃないですか。ジョーズみたいのが現れて襲われるかもしれない」と真面目な顔をして言う。何度聞いても同じことを言う。本当にそう思っているのだ。これが40過ぎの男が言う言葉なんだろうか。

●TYC第8戦

今日はラムダセイルの五十嵐氏に来てもらいセイルの最終チェックをする。五十嵐氏は法政二高ヨット部のスナイプ乗りだった人。
法政二高ヨット部と言えば、今は無くなってしまったが名門中の名門。当時、最強と言われた高校ヨット部である。
卒業後も外洋レースや海外でのレースを豊富に経験している。何せあの「コンテッサⅡ」のクルーも努めていた。
チャイナシーレースも出たのであろうか。聞きそびれてしまった。

短パンポロシャツにぼさぼさの頭。潮焼けした声に、強い紫外線で色が抜け茶色くなった瞳。飄々として世捨て人のような面持ちは典型的なヨットマンである。

さて、レースのほうであるがフォアステイのテンションも調整し、マストのレーキも立てた。
Tが海に落としてしまったGPSスピードメーターもリードを付け、しっかりマストに装着して準備万端。

これがバウマンTの後姿。なんだか「姉さん座り」でヘッドセイルを捌いている仕草が女々しい。
何度も言うがTが落としてしまったGPSスピードメーターも新しいのがマストについている。
TYC第8戦_f0206762_11192318.jpg

当日の朝、レース海面に向うところ。この段階ではかなりガスっていて視界が悪い。

●スタート~1上

五十嵐氏にはジブトリとスピントリマーをお願いする。
スタートは若干下有利だったが、風が弱いので上側の空いているところから加速をつけて出ることにした。
まぁまぁのスタート。
暫くは一進一退を続ける。そのうち下振れしだしたので直ぐにタックを返す。南風なのに結構振れが激しい。丁寧に合わせながらマークに寄せていく。
この段階で「SESTA」(Y-30SⅡ)、「ベガⅢ」(OKAZAKI40.1)、「WIZ」(T301)、我々と順に回航し、この4艇が後続を大きく離しトップ争い。

●1上~1下

スピンホイストも事前の段取りどおり順調に揚がる。ほぼ20艇身以内に4艇がいる。後続とはかなり距離がある。
我々はひたすらプロパーコースを採る。ともかくマークに一直線である。
五十嵐氏は実に手際よくトリムをこなす。無駄なアクションや細かいトリムは一切しない。しかしながらスピンが全くつぶれない。ヘルムスも安心してコースを引ける。
下マークでは「SESTA」が20艇身ほど先に回り、それ以外の3艇は団子状態で回航。

1下~2上

「ベガⅢ」の下に入ってしまった「WIZ」が苦しくなって、即タックで左海面に向う。「WIZ」はこれが災いして大きく後退。
これで前にいるのは2艇のみ。

ともかく我々は振れに合わせ、細かく丁寧に刻んでいく。
僕はタックといったら待っている事ができない。「タック!」と言った次の瞬間にはもう舵を押している。「スタンバイタック!」などと悠長に待っていられない。
そんな僕の我侭な舵捌きに、五十嵐氏は実に素早くスムーズなリリース&テーリングで応える。

僕はついつい上る癖がある。五十嵐氏から「スピードで行きましょう!スピード重視」と激が飛ぶ。
僕は僕で「いや、ここは角度で行きましょう!角度で」と返すと、クルーのOが「艇長、ここはスピードで行きましょう!」と五十嵐氏に同調する。今までは「ヨットは上り角度が大事ですよ角度が」なんて言っていたのがである。

Tなどは調子に乗り「ほら!裏風入っているよ、裏風が!いつも上り過ぎるんだから!」などとバウから偉そうに言う。どっちが艇長だかわかりゃぁしない。五十嵐氏が乗っているのでいい格好を見せたいのだろう。
心の中で(黙ってブローを見てろ!このお調子もんが!!)と怒鳴りながら五十嵐氏がいるのでじっと我慢をしていた。
それでもともかく表裏のテルテールを綺麗に流すように心がけ前だけをみて帆走った。
上マークはほぼ「ベガⅢ」と同時に回航。二下へ向う。
トップは相変わらず「SESTA」。順調に飛ばしているが、それでも艇差は詰まり始めてる。

●2下~フィニュッシュ

「ベガⅢ」と艇差がつくことなく、僅差のまま下マークを回航するが、我々はインに入ることが出来、そのまま上り勝ちしていく。
途中、10艇身程差があった先頭の「SESTA」にも追いついた。風が振れて上下関係になった時には完全に僕らがトップに立った。
後はフィニュッシュに向けともかくスピードをつけ走り負けないようにするだけである。

フィニュッシュラインはアウター有利。スターボーを伸ばしレイラインで返し、ポートフィニュッシュで行くことにした。
ところがレイライン寸前で上振れしてしまい、上側にいた「SESTA」が有利になってしまう。

フィニュッシュは13秒遅れで負けてしまった。
しかし最初は30艇身近くて離れていた差をよく挽回して追いついた。

結果論ではあるが、先行した時に、上り重視で行けば僕らのキールラインに「SESTA」を入れられたはずである。そうすれば上振れしても抜かれることはなかった。
スピードを重視した為に落し気味になり、下先行という位置関係になった。この形だと風が上振れした場合は、上側にいた艇が俄然有利になる。
スピードを重視するとスピードに溺れてしまいタクティクスが疎かになる。怖い落とし穴である。
今後はフィニュッシュまで気を抜かず最後の最後まで慎重にレースを行いたい。

もちろん修正では問題なく1位。ステラではTYC初優勝だ。
せっかく来ていただいた五十嵐さんにも面目が立った。
これで全日本に向け弾みがつきそうだ。今週水曜日にTと江ノ島に向け回航する。

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by teamstella | 2009-09-14 12:06